仕事中にウンチ掃除をさせた罪は重い。でも、みんなそれを愛していた。
1990年代後半、日本から始まった「たまごっち」ブームは瞬く間に世界中を席巻しました。小さな卵型のキーチェーンゲームの中で生きるバーチャルペットに、大人も子供も夢中になりました。しかし、その熱狂の裏で、深刻な経済的損失が発生していることに気づいた人たちがいました。
イグノーベル賞委員会は、たまごっちブームが社会に与えた影響を独自の視点で評価しました。彼らが注目したのは、たまごっちの世話にかかる「時間」です。エサやり、フンの掃除、遊び相手…これらを怠るとたまごっちは死んでしまいます。そのため、多くの会社員が勤務中にもこっそりと世話を焼き続けました。
委員会は「数百万人の労働時間を仮想ペットの飼育に費やさせた」として、たまごっちの開発者たちに経済学賞を授与しました。試算によると、世界中の労働者がたまごっちに費やした時間を時給換算すれば、その経済的損失は莫大な額になります。授賞式には開発元のバンダイの社員が出席し、苦笑いしながらも誇らしげに賞を受け取りました。
たった数ドットの電子ペットが、現実世界の経済活動を停滞させるほどの力を持ったのです。これは、現代の「スマホ依存」や「SNS疲れ」にも通じる、テクノロジーと人間の関係性を予見したような出来事でした。